【文鳥防災】避難所避難編―文鳥と一緒に避難所へ行くために
トップ画像:一緒に避難したいと目力で訴えるぺん助手(@comatsu_cotoLi)
今回は「避難所避難編」と題して、自宅の安全が確保できず、やむを得ず避難所に避難する場合について考えてみましょう。
ペットを連れての避難所避難はトラブルの元になります。周囲の避難者に配慮しつつ、しっかり安全を確保できる飼い主になりましょう。
なお、前回の文鳥防災では「在宅避難編」として、災害発生直後からインフラ・物流復旧までの避難生活を自宅で送るためにできる備えを学びました。こちらもあわせてご覧ください。
まず最初に確認したいのは、人間だけでの避難でさえ、避難所避難は大変であるということです。
大規模災害で大きなストレスを受けた見ず知らずの人々が、プライバシーの守られない空間で突然共同生活を強いられるのが避難所避難です。避難生活が長引くほどストレスは深刻化し、ケンカや犯罪行為が発生する場合も少なくないと言われています。
もちろん、避難所を運営する方々は必死に努力してくださっているわけですが、限られた予算と人員のなか、できることは限られています。
また、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてから、避難所における「三密回避」の議論も行われており、避難所での収容人数の制限が厳しくなる可能性もあります。そうなれば、苦労して避難所にたどり着いても定員オーバーでたらい回しになってしまう状況も考えられます。
こうした事情から、近年では大都市を中心に、ペットの有無に関わらず在宅避難を推奨するようになってきています。例えば東京都は「東京防災」の中で「自宅で居住の継続ができる状況であれば、在宅避難をしましょう。」(P.54)と明記しています。
避難所以外の一時預け先候補を考えておく
避難所避難は大変です。たとえ飼い主と離れることになっても、せめて文鳥だけでももっと良い環境で飼養してもらうのが健康・安全の面から望ましいかもしれません。
避難所以外の緊急預け先を事前に考えておけば、そうした選択肢も検討できるようになります。
例えば自宅から少し離れた動物病院やペットホテル、家族、友人、アニマルシェルター施設などの連絡先をあらかじめ調べておくと良いでしょう。
できれば動物病院やペットホテルも何回か利用しておくと、いざという時に文鳥を預ける際の不安も軽くなるはずです。災害発生時には文鳥だけでなく飼い主さん自身も大きなストレスを感じているはずですので、「安心して預けられる」ことは非常に重要です。
避難所について事前確認を
避難所以外の一時預け先を検討しつつも、やはり近隣の避難所については事前確認をしておきたいものです。
特に確認しておきたいのが「文鳥の同行避難または同伴避難が可能か否か」と「文鳥と一緒に避難した場合、具体的にどのように避難生活を送ることになるのか」の2点です。
確認事項1:同行避難と同伴避
「同行避難」と「同伴避難」は混乱を招きやすい用語です。ある調査では「同行避難と同伴避難の違いを正確に理解しているペットの飼い主は全体の61.6%」という結果も出ています。
Web上の記事でも定義がバラバラなのですが、最も信頼できると思われる環境省の定義によれば、「同行避難」について「同行避難とは、ペットと共に移動を伴う避難行動をすることを指し、避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない。」と説明しています。
同行避難の方が「ペットとともに安全な場所まで避難する行為(避難行動)」を意味しているのに対して、「同伴避難」の方は、「被災者が避難所でペットを飼養管理すること(状態)」を意味しています。
つまり、「この避難所は同行避難OKです」という場合、ペットと一緒に避難所に行くことはOKかもしれませんが、その後の避難生活をペット一緒に送れるかどうかについては全く不明であるということです。
さらにややこしいのが、「同行避難」「同伴避難」といっても犬・猫だけを想定していて、鳥は想定外と言われてしまう可能性もあることです。
地元の自治体等に確認する際には、ハッキリと「文鳥を連れての同行避難、または同伴避難は可能ですか?」と質問するのがよいでしょう。
確認事項2:具体的な飼育環境
もし運良く文鳥との同伴避難が可能な避難所を見つけられたとしても、具体的な飼育環境を確認するまで安心はできません。
「同伴避難」といっても、「飼い主とペットが同じ空間で生活できること」までは意味しておらず、ペットがどのような環境で生活することになるかは全く不明なのです。
避難所ではどのようなペットの飼養環境を想定しており、避難所側の飼養設備としてどのような備蓄があるのか、ハッキリと確認しておきましょう。
避難所避難のための備え
1 ケージやキャリーケースに名前と連絡先を書く
避難所やペットホテルに預ける場合、誰がどのように文鳥の世話をすることになるか分かりません。災害の混乱の中でペットの取り違え等が起きる可能性も少なくないでしょう。
そうした事態を避けるため、ケージやキャリーケースには文鳥の名前と飼い主の名前、飼い主の住所と電話番号などを書いておきましょう。
油性ペンで直接書くか、防水シールやネームタグを使うのも良いでしょう。
2 ペットの防災手帳
ペットの防災手帳については「災害発生時編」でも紹介しました。
これも、飼い主以外の人が文鳥のお世話をする可能性がある避難所避難においては特に役に立つでしょう。
PDFを印刷して書いておけばいいだけですので、手軽にできる防災対策であるといえます。
3 ケージ等が入る大きさのビニール袋
避難所避難では、周囲の人々への配慮が重要です。
動物にアレルギーがある人がいるかもしれませんし、舞い散る鳥の羽根やフンを不衛生であると感じる人も少なくないでしょう。
羽毛やフンの飛散防止と、鳥の目隠しのために、ケージ等が入る大きさのビニール袋があると良いでしょう。
まとめ
今回は文鳥防災の「避難所避難編」ということで、避難所避難における注意点を確認してきました。
今回で文鳥防災は一応の最終回となります。最新のペット防災の動向に注意しつつ、また取り上げるべき内容があれば追加講義を行っていきたいと考えています。
文鳥防災をきっかけに、一人でも多くの飼い主と文鳥たちが災害への備えを万全にしてくれることを願っています。
0件のコメント