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文鳥と気のう炎

ツヤにこだわりのあるぽん先生
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トップ画像:ぽん先生のツヤは高い免疫力の証拠(@comatsu_cotoLi

文鳥が飛ぶために必要な、呼吸による大容量の換気を可能にしているのが「気のう」という袋状の呼吸器です。

気のうに炎症が起きると呼吸困難を生じ、さらに気のうに隣接する臓器へと炎症が広がっていってしまいます。

気のう炎は様々な原因で生じ、骨折や関節炎のような意外なきっかけで発症することもあります。

文鳥を含め、鳥には「気のう」という呼吸器官があります。肺から飛び出した気管から発生した非常に薄い壁の袋状の組織です。血管はあまり分布しておらず、他の呼吸器のように異物を除去するための線毛もありません。

気のうは複数あり、前部の気のう群(頸気嚢、前胸気嚢、鎖骨気嚢)と後部の気のう群(後胸気嚢、腹気嚢)の大きく2つに分けられます。それぞれの気のうは互いに接していますが、連絡があるわけではありません。

鳥は気のうがあることによって、呼吸時の換気量を増大させて、莫大なエネルギーを必要とする飛翔を化膿にしています。さらに、気のうによって体積あたりの体重が軽くなるため、飛ぶのに適した身体になっているのです。

気のうが何らかの理由で炎症を起こすのが気のう炎です。

気のう炎の原因

クラミジアを代表とする細菌の感染や、アスペルギルス(カビの一種)の感染によって、気のう炎を起こします。特にアスペルギルス症は腹部気のう群に好発します。

頻度は落ちますが、キノウダニの寄生によって気のう炎を起こすこともあります。

病原物質は気管・肺をいったん素通りして後部気のう群に到達し、繁殖します。

同居の犬猫から攻撃されるなど、何らかの理由で身体に創傷を負ったことがきっかけとなって、感染性気のう炎が発症することもあります。

このほか、刺激物の吸入や食物・薬剤の誤飲によって気のう炎を起こすことがあります。

気のうは様々臓器と接触しているため、他の臓器の異常が原因となって気のう炎に至るケースがあります。

卵材性腹膜炎を起こした場合、通常は腹膜に接する気のうにも炎症が生じます。

また、鳥には中が空洞になっている「含気骨」という骨があります。

気のうは含気骨に繋がっているため、骨折や関節炎などの骨の病変から気のうへと病原体が移行することがあります。

気のう炎の症状

気のう炎が単独で発症した場合、初期症状は非常に分かりにくいものになります。

何も症状を示さないか、元気や食欲がやや衰える程度のことが多いでしょう。食欲不振が継続することで体重の減少が起こります。

炎症が進展し、気のうの柔軟な伸縮が妨げられる程に気のう壁が肥厚した段階で、呼吸困難が見られるようになります。特に運動後に呼吸困難の症状を見せることが多く、荒い呼吸や開口呼吸、体全体での呼吸するような様子が観察されます。「ヒーヒー」といった様な呼吸音が聞こえたり、鳴かなくなったりすることがあります。他にも、呼吸数の増加や、呼吸にあわせて尾を上下に運動させるテールボビングが見られることもあるでしょう。

キノウダニが寄生している場合、特に夜間に呼吸困難の症状が見られることが多いようです。

前部気のう群の一部に炎症が生じ、閉塞してしまった場合、息を吸うと共に他の前部気のうが拡張するエアトラップという現象が観察されます。

このほか、咳やくしゃみ、鼻水、首の下部に腫れが見られることがあります。

炎症を起こした気のうに隣接する臓器に炎症が広がり、胃腸炎や肝炎、腎炎を続発することがあります。これらの臓器の炎症による症状が起きて初めて気のう炎に気がつくことも少なくありません。

気のう炎の予防

栄養バランスの良い食餌と衛生的で快適な飼育環境を確保することで、文鳥の粘膜の防御機能を健康に保つようにしましょう。

粘膜の健康にはビタミンAを不足させないことが重要です。シード食の文鳥では青菜やサプリメントを欠かさないようにしましょう。

不衛生で埃っぽい場所や、換気が不十分な場所は、粘膜にダメージを与えると共に、気のう炎の原因になる病原体の増殖に好都合です。また、騒音や振動が絶えない場所、エアコンの風が直接当たる場所などは文鳥にストレスを与えてしまい、免疫機能全般の機能低下の原因になります。文鳥にとって住みよい場所にケージを設置し、定期的な掃除を欠かさないようにしましょう。

冬場は急激に気温が低下し、乾燥が生じるため、特に注意が必要です。温度管理をしっかり行い、加湿を行うようにしましょう。

また、刺激性のガスを文鳥に吸わせないように注意します。文鳥をキッチンに近づけさせないことはもちろん、文鳥の居る部屋でヘアスプレーやタバコ、蚊取り線香、制汗剤などを使わないようにしてください。

なお、感染性の気のう炎を起こしている場合、同居鳥に感染が拡大するおそれがあります。気のう炎を起こした子は、他の文鳥から隔離しましょう。

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