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文鳥国勢調査2019 結果報告 [3: 環境編]

文鳥国勢調査[3: 環境編]
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2019年(令和元年)9月1日〜9月30日に実施された第1回 文鳥国勢調査の結果をご報告致します。 回答数は1723件! 皆さま、ご協力ありがとうございました。

報告内容を1ページにまとめると非常に長くなって読みづらいので、分割して公表しています。

このページでは「3: 環境編」と題して、文鳥の飼育環境に関する調査結果と考察を発表します。

※スマートフォンでご覧の方は、グラフを横にスワイプすることで全体を確認できます。

※なお、便宜上「11羽以上飼育している」との回答は「11羽」として計算し、「11歳以上の文鳥」は「11歳」として計算しています。

調査結果

文鳥の起床時刻について、調査結果は次のグラフのとおりになりました。

解説

最も多かったのは「7時起床」で534件(31.8%)でした。6時台の起床も支持を集めており、6時ちょうどの起床が299件(17.81%)、6時30分の起床が221件(13.16%)でした。

野生の文鳥の起床時刻は「日の出から少し経過した頃」であると言われています。

日本(東京)の日の出の時刻は、真夏で5時前ごろ、真冬で7時前ごろです。したがって、6時〜7時ぐらいで文鳥を起こすのはまず妥当なラインだと言えそうです。

外部サイト:Sun Graph for Tokyo

文鳥の就寝時刻

調査結果

文鳥の就寝時刻について、調査結果は次のグラフのとおりになりました。

解説

最も多かったのは「21時就寝」で356件(21.20%)でした。次点は「22時就寝」で295件(17.57%)、3位は「23時就寝」で193件(11.49%)という結果です。

野生の文鳥は日没とともに就寝します。日本(東京)は17時ごろ〜19時ごろには日が沈むため、構成比率1位である「21時就寝」でも結構遅い時間であると言えます。現代の人間は夜型の生活になりがちであるため、文鳥の就寝時刻も人間に合わせて遅くなっているということでしょう。

夜ふかしはホルモンバランスの乱れやストレスから病気に掛かりやすくなってしまうため、「20時就寝」の比率をもっと高めていくことが、文鳥の福祉につながるのではないでしょうか。

文鳥の活動時間

調査結果

文鳥の起床時刻と就寝時刻の回答結果から、文鳥の1日あたりの活動時間(起きている時間)の長さを計算しました。

結果は次のグラフのとおりです。

解説

最も多かったのは「15時間」で、360件(22.64%)となりました。

2位は「14時間」で332件(20.88%)、3位は「16時間」で248件(15.60%)となり、15時間前後が文鳥の活動時間としてメジャーであることが分かりました。

野生の文鳥の活動時間の長さ=昼の長さであるとすれば、日本では季節に応じて10時間〜14時間程度になります。文鳥の原産地のインドネシアでは、年間を通して12時間程度の昼の長さになっています。

こうした事情を考慮すると「現代日本の文鳥たちは睡眠不足気味」と言えるかもしれません。

文鳥の放鳥時間

調査結果

文鳥の1日あたりの放鳥時間について、結果は次のグラフのとおりとなりました。

解説

最も多かったのは「1時間」で501件(29.8%)でした。次点は「3時間以上(一日中では無い)」で386件(23.0%)、3位は「2時間」で368件(21.9%)という結果です。

放鳥は文鳥が心から楽しみにしているふれあいの時間であると同時に、運動量を確保して健康を保つための大切な習慣でもあります。1〜2時間以上の放鳥時間があれば、まずこの点は問題ないということができそうです。

一方で、あまり長すぎる放鳥には注意が必要です。

人間が暮らす環境には、文鳥にとって危険なものがあふれており、時に飼い主自体が文鳥のケガの原因になってしまうリスクがあることも忘れてはいけません。

放鳥時に気をつけていること

調査結果

放鳥時に気をつけていることについて、飼い主の皆さまに自由記述形式で回答頂きました。

総回答数は1,321件となり、「窓を確実に締める」といった内容が426件、「ドアを閉じる・静かに開閉する」といった内容が299件となりました。

窓やドアは文鳥の事故が多発する場所でもあります。窓からの脱走はもちろんですが、透明なガラスが見えなくて頭から激突してしまったり、急に人間がドアを開けたところに激突してしまったりと、いずれも致命的な大ケガになりかねません。ぜひ注意してください。

上記の他、「文鳥から目を離さない」「どこに居るのかを常に確認する」といった内容も多数寄せられ、359件にもなりました。

以下に、お寄せ頂いた回答をいくつか引用させて頂きます。

可能な時は、朝晩のみでなく数回放鳥し
放鳥時は拾い食いのないよう部屋を綺麗な状態で放鳥し、窓や扉の開け閉めにはかなり気を遣っている。

家族にも周知し、窓の開け閉めすなわち文鳥の命に関わる事と何度も伝えている。
人間の歩くという行為も、文鳥からするとスカイツリーが何本も動いているようなもので、大変危険な行為であると伝え、自身もかなり気をつけている。

それから大変に可愛がるように(無理に触らない・見守る事や声かけも可愛がることのうち)とも周知している。

窓、ドアの開閉に気をつける。キッチンは使わない(水道は可)。熱い食べ物を食べない。文鳥の位置を確認してから動く。人間が眠くなったときはケージにお帰りいただく。

拾い食い防止の為掃除の徹底
家族との声かけ(ドアを開ける前に一言)

・放鳥する部屋のドア、窓が閉まっているか確認
・放鳥中は必ず文鳥がいる場所を確認しつつ、よっぽどのことがない限りその場から動かないようにする
・食べ物や文鳥が口にしやすい小さい物が落ちていないか確認する
・朝も確認するが、放鳥時に飛び方など体調不良がないか観察する
・文鳥が楽しく遊べるような場を設け、飼い主はテレビや携帯に夢中にならないよう、全力で文鳥と遊ぶ!(動画、写真は撮りますが、文鳥が嫌がるときは撮らない)

うちの文鳥は良く自分の部屋とリビングを往復する様に飛ぶのでドアの開閉、文鳥を見失った時は鈴(好きな物)を鳴らしてピッ!と返事をするのを待ったり、こちら側に飛んで来るのを待つ!
自分も目が悪いので闇雲には動かない様にしてます

戸締まりをしっかり。
観葉植物を移動。
文鳥が食べられない物は出さない。
床を散歩中に踏まない。
豆苗をきらさない。
指の上で睡眠中は起こさないようになるべく動かない。

相性の悪いもの同士では出さない。
他のペアのオスかメスにチョッカイを出す鳥の扱いには気を付ける。
飼い主が逐次監視するように心掛ける。

・外に出てしまわないように窓は閉めたり、玄関より遠い冷暖房のある部屋で放鳥する。
・踏んでしまわないようにする。
・危険な家電・家具のあるところへは近づかせない。
・寂しい思いをさせない。

ケージの床掃除の頻度

調査結果

文鳥のケージの床掃除を行う頻度について、結果は次のグラフのとおりとなりました。

解説

「毎日数回掃除している」(3.4%)と「毎日1回掃除している」(47.5%)を合計すると、50.9%の飼い主が毎日ケージの床掃除を行っていると回答しています。

「週に数回掃除している」(23.5%)と答えた飼い主も許容範囲だと考えれば、全体の74.4%の飼い主は適切に床掃除を行うことができており、文鳥も快適に過ごすことができていると言えそうです。

一方で、週に1回以下しか床掃除ができていないという飼い主は、ケージが不衛生になりがちな梅雨や夏のシーズンには特に注意が必要です。

ケージを衛生的に保つことは、飼育管理の基本の一つです。ケージの床がフンで汚れたままになっていると、アスペルギルス症や皮膚真菌症の原因になることがあります。これらの感染症から肺炎になってしまう文鳥もいるでしょう。

また、寄生虫の一つであるコクシジウムは宿主のフンを媒介とすることで別の個体へと感染を広げていくことが知られています。

せめて週に2〜3回はケージの床掃除を行えるように、ぜひ生活習慣を見直してみてください。

ケージ全体洗浄の頻度

調査結果

文鳥のケージの床だけでなく、ケージ全体の洗浄を行う頻度について、結果は次のグラフのとおりとなりました。

解説

月に1回以上は全体洗浄を行っていると回答した飼い主が全体の70.8%となっており、多くの文鳥たちは衛生的なケージで生活できていると言えそうです。

ケージの全体洗浄は確かに手間のかかるものですが、トリコモナス症などの予防などに効果を発揮します。

月に1度はケージの全体洗浄を行う飼い主を増やしていけるよう、文鳥大学でも情報発信を続けて参ります。

体重測定の頻度

調査結果

文鳥の体重測定を行う頻度について、結果は次のグラフのとおりとなりました。

解説

ケージの掃除に関しては積極的に行っている日本の文鳥飼い主ですが、打って変わって体重測定の文化はあまり定着していないことが伺えます。

体重を「測っていない」(33.2%)と「時々測っている」(37.4%)を合算すると、実に70.6%の飼い主が定期的な体重測定を行っていないと回答しています。

鳥の健康状態を知る上で、体重の推移に関する情報は非常に役に立ちます。何の症状も見せず元気に振る舞っている子でも、何か異常があると体重の変動としてサインが現れる場合は多いものです。

急に大きく体重が減少していれば、実はエサが食べられない状況になっていたり、消化器系の病気でうまくエネルギーとして吸収できていないのかもしれません。

体重が増加した場合、おやつの食べすぎや運動不足で肥満になっているのかも知れません。

こうした文鳥の病気のサインを早く、確実にキャッチするためには、決まった時間に定期的に体重を測定することが役に立つでしょう。

なお、体重測定を習慣として取り入れると「うちの子って文鳥の標準体重よりも重いから、ダイエットが必要かも…」と感じる飼い主もいるかもしれません。

しかし、文鳥のダイエットは人間のものとは意味合いが大きく異なります。慎重に行う必要がありますので、どうしても気になるようでしたら一度は獣医にアドバイスを受けるようにしましょう。

爪切りについて

調査結果

文鳥の爪切りをどのように実施しているのかについて、結果は次のグラフのとおりとなりました。

解説

71.6%が「飼い主が爪切りしている」と回答しています。「文鳥の爪切りは飼い主がやるもの」という文化が定着していることが伺えます。

ですが、文鳥の爪切りは注意して行うべき繊細な仕事であることを忘れてはいけません。

爪の中には血管が走っていますから、深く切り過ぎれば出血します。また、爪切りのために文鳥を保定すると暴れる子は多く、時に過度の緊張から発作を起こしてしまう子もいます。

家庭で爪切りを行う際には、落ち着いた環境で準備を万全にしてから行うようにしましょう。

爪切りに自信のない飼い主は無理せず病院で切ってもらっても良いでしょう。「病院で切ってもらう」という回答は17.0%でした。

体調チェックの方法

調査結果

文鳥の体調を日々どのようにチェックしているのかについて、結果は次のグラフのとおりとなりました。

解説

日常的な体調チェックにおいて多くの飼い主が重視しているポイントは「見た目」「フンの状態」「食事量」の3つであることが分かりました。

しかしながら、最も重視されている項目である「見た目」のチェックがどの程度有効であるかは疑問が残ります。

全身を羽毛で覆われていて病変が分かりにくいということもありますが、そもそも見た目にハッキリと異常が現れた時点で既に重症になっていることが多いという事情があります。

やはり、「体重の増減」や「お腹を見る」など、より積極的な体調チェックの習慣を取り入れるべきではないでしょうか。

同居の動物

調査結果

文鳥が一緒に暮らしている動物について、結果は次のグラフのとおりとなりました。

解説

圧倒的に多くの飼い主は「飼育しているのは文鳥だけ」(1,148件)であることが分かりました。

同居動物で最も多いのは「セキセイインコ」(158件)、次点で「犬」(113件)となります。

ペットとしては最もメジャーと言っても良い「犬」を抜いて「セキセイインコ」が同居動物1位に来ており、文鳥の飼い主にはいわゆる「鳥好き」が多いことが分かります。

「その他」(120件)の中で最も多かったのは、金魚や熱帯魚といった「魚」(48件)でした。また、「カメ」(25件)という回答も目立ちました。

同居の動物とのトラブルを避ける工夫

調査結果

同居の動物とのトラブルを避けるために行っている工夫について、飼い主の皆さまに自由記述形式で回答頂きました。

総回答数453件の内、174件が「一緒に放鳥しないようにする」「放鳥のタイミングをずらす」「別居させる」といった隔離の工夫についてでした。

文鳥は縄張り意識が比較的強い鳥であるとされており、文鳥同士でケンカしてしまうことが多いです。ケンカによってクチバシや目をケガしてしまうこともあるため、文鳥同士の気が合わないようであれば、安全を守るための隔離もやむを得ないと考えるべきでしょう。

そのほか、非常に文鳥らしい行動に関する回答をひとつ引用させて頂きます。

文鳥がカメの上に乗ったら、カメにちょっかいを出すのでカメのところに行ったら、捕まえる。
こら!と怒る声を出すので行ってはいけない事は分かっている。
たまに相手をしてあげないとわざと行くと思う。

上記の回答を寄せてくださった飼い主は文鳥と一緒にカメを飼っているそうですが、「文鳥がカメにちょっかいを出してしまう」ことと、「文鳥がわざとカメにちょっかいを出すことで飼い主の気を引こうとしている」ことを指摘しています。

文鳥を始め鳥類は、人間が漠然と考えているよりも遥かに高い知能を有しているものです。状況を学習して仮説を立てて、それを実行する力があります。また、文鳥は飼い主のことを「ご主人さま」ではなく「恋人・パートナー」だと考えています。

「恋人である飼い主が自分のことを構ってくれないから、カメにちょっかいを出して気を引こう」というのは、いかにも文鳥らしい行動と言えます。

それと同時に「放鳥時は文鳥に集中すること」という基本を、改めて思い出させてくれます。放鳥時の文鳥から目を離すことの危険性ももちろんです。ですが、飼い主が放鳥時間にスマホをいじっていたりテレビに夢中になっていたりすれば、せっかく大好きな飼い主とコミュニケーションが取れるはずなのに無視されてしまう文鳥たちはやりきれない気持ちでしょう。

放鳥している間だけは、文鳥を最優先する習慣を身につけたいものです。

温度管理で気をつけていること

調査結果

文鳥の飼育環境における温度管理について、飼い主の皆さまに自由記述形式で回答頂きました。

総回答数1,142件の内、「エアコンを活用して室温管理している」が524件、「ペットヒーターを活用して保温している」が376件となり、多数の回答を集めました。なお、エアコンの設定温度については、「夏場でも28度〜30度で設定する」という声が目立ちました。

日本の厳しい冬を乗り切るために「ケージをタオルやビニールシート等で覆って保温している」という回答が154件ありました。ペットヒーターとの併用による加熱のしすぎや火事には注意が必要ですが、保温には有効です。

「サーモスタットを活用している」という回答は114件寄せられました。ペットヒーターとサーモスタットはぜひ一緒に活用するようにしましょう。加熱し過ぎによる熱中症を予防でき、安全に温度管理できるようになります。

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