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文鳥と卵管炎

隙間を伺うぽん先生
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トップ画像:巣作りしたくなる隙間を見つけたぽん先生(@comatsu_cotoLi

卵塞や過剰産卵など、繁殖関連の疾病から卵管炎が続発することがあります。

卵管炎から腹膜炎を起こすと急性に敗血症を起こす可能性があり危険です。

産卵は文鳥にとって命がけの行為です。卵管炎に限ったことではありませんが、無用の発情はできるだけ避けて、繁殖関連の疾病を予防しましょう。

卵管が炎症を起こした状態です。病原体への感染や卵管の物理的損傷によって起こります。

卵管炎から腹膜炎を続発したり、周囲の臓器へと炎症が波及すると重篤化します。

卵管炎の原因

細菌をはじめ、病原体が原因で発生する「感染性卵管炎」と、腫瘍や卵塞などが原因で発生する「非感染性卵管炎」があります。なお、「感染性卵管炎の発生は稀」としている文献があります。

感染性卵管炎は、排泄腔から病原体が侵入したり、生殖器に隣接する気のうの炎症が波及したりすることによって生じます。血行性に病原体が侵入することもあるようです。

非感染性卵管炎では、卵管の腫瘍や卵塞、卵管蓄卵材症など、卵管にまつわる他の疾病を原因として卵管が炎症を起こします。

そのほか、ホルモンバランスの乱れが卵管炎の原因になるとしている文献も見られます。

卵管炎の症状

全身状態が悪化し、元気が無くなります。腹部の痛みから、しきりにお腹を咬んだりする様子に気がつくかもしれません。

炎症の進行に伴い卵管が腫れ、腹部が膨張します。稀に黄白色で、チーズ状の膿が排泄されることがあります。

卵管炎が原因となって卵性腹膜炎を起こし、腹水を生じることがあります。卵性腹膜炎は急性に敗血症を起こすことがあるため危険です。

また、卵管の腫れや腹膜炎によって隣接する他の臓器を圧迫したり、炎症が波及したりする場合があり、疾病が拡大していきます。

卵管炎の予防

卵管炎の予防では、他の繁殖関連の疾病と同様に、栄養バランスの良い食餌と適切な飼育管理、そして発情抑制が重要になります。

食餌ではカルシウムの不足に注意しましょう。産卵期はカルシウムの必要量が増大しており、不足すると卵殻の形成や卵管の蠕動運動に障害が出て、卵塞や卵管蓄卵材症の原因になることがあります。

ボレー粉やサプリメントでカルシウムを不足させないようにしましょう。カルシウムの吸収にはビタミンDが必要であるため、窓ガラスを開けて日光浴をさせてあげることも重要です。

飼育環境については、振動や騒音がなく、急激な温度変化を避けられる場所にケージを設置し、文鳥のストレスを軽減しましょう。

また、不規則な生活や睡眠不足はホルモンバランスを乱します。人間と暮らしている以上は、文鳥の就寝時刻が遅くなりがちなのは仕方のないことですが、少なくとも夜中に起こすことのないように注意しましょう。

発情を抑制し、過剰産卵を起こさないようにすることも、卵管炎の予防になります。

繁殖を行わないのであれば、ケージ内につぼ巣を設置する必要はありません。巣材になりそうなものも取り除き、ケージの底に敷いた紙をちぎって巣材にしようとするのであれば、フン切り網を使いましょう。

同居鳥の姿や鳴き声が発情の原因である場合もあります。発情が見られる文鳥は一時的に隔離すると、発情が止まることがあります。隔離に伴う移動により、適度にストレスが加わることも発情抑制には好都合です。ただし、ストレスが過度になって健康を損なう場合もあるため、しっかり見守ってあげましょう。

手乗り文鳥では飼い主に対して発情していることがよくあります。発情抑制を試みる場合、メスの文鳥の背中を撫でたり、手であやしたりしないようにしましょう。接触時間を少なくするのも効果的です。

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